北極圏への旅 その6 イナリ3日目 聖地へ

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北極圏への旅
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イナリ滞在3日目。

本日は、SAJOSのガイドツアーに参加する予定で向かった。


しかし、この日は、大ホールで音楽イベントが夕方からあるので

ガイドツアーがないと言われた。


結局月曜日にガイドツアーがあるとのことで、

だったら今日も図書館で資料をあさろう!って感じで

半ばやけくそになって資料を漁る。


昨日とは違い、ヨイクのCDもたくさんチェックできたので

なんとなくサーミ族のイメージがつかめてきた。


キラと交代でCDを聞いたり、なんとか理解できそうな本を探していると

フィンランド語だが、シャーマンの記述がたくさんある本を発見した。


キラにそれを託し、私はひたすらまた資料を探していると

彼女が、ある写真を指さして、

サーミのこのような聖地に行ってみたいと言い出した。


その写真の風景は、ここよりも約100kmくらい北の地の海岸に

ぽつんとある岩のつきだした場所だった。


サーミ族の聖地というのは、岩がつき出たところを

儀式の場所として使っていたらしく、

その場所で捧げものをして、神に祈ったらしい。


イナリにももちろん、そのような聖地はあるのだが

それは、湖のほぼ真ん中にあり、夏はボートで行けるが

この時期はそのボートもやっていない。


また、かなり観光地化しているので、そこに行っても

果たして歌を録音できるかどうかわからなかった。


ネットでそれらしいものを探そうとしても

あまりにも情報が少ないのでどうしたものかと

途方に暮れるが、苦肉の策として、図書館の方に

このような場所をご存知ないかと聞いた。


すると、難しい顔をしたあと、ここから約150kmほど南にある

POKKAという村にある湖に、そういう場所はあるとの情報を得た。


その場所の名前は

Taatsi Seida.


時刻は14時を回っていた。


とりあえず今日下見でもいいから今から行こう、ということになり

車で約2時間飛ばしてPOKKAについた。

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(冬には-51度になる…という恐怖極寒ポイントの看板を後で発見することになる。)



図書館を出る前に、ネットで検索すると

この場所に関しては結構情報がでてきたが、どうやっていくかはあまりはっきりしていなかった。


とりあえずgoogleマップ先生の指示の元、走り出したが、

wifiもとどかなくなり、現在地もわからなくなった。


多分この辺ではないかというところに車を止めた。


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駐車場が一応あって、小さい小屋がある場所から

歩いていくと湖が現れた


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それっぽい岩を見つけたので

このあたりかなと思いながら散策する。


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このあたりは、風も全く吹かないし、まして生き物の音が聞こえない。

鳥も鳴かない。ただ静寂のみがあった。


まさに絶好の録音環境であった。


ここを聖地だと勝手に決めて、

寒いから体力があるうちに録音を開始した。


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湖がオパール色であまりにも美しい。

そして、全く何も録音の邪魔をしない。

本当に野外録音で、ここまでの環境に出会ったことはない。


ただ、ここが果たして聖地なのかという疑問は残り続けた。


他にも、何かそれらしいものはないかと

けもの道が果てしなく湖の奥まで探索した。

最後は湿地になったのでそれ以上は行くことができなかった。


無理やり自分達を納得させて、一旦帰ることにする。


POKKAの分かれ道まで戻ってきたときにガイドマップの看板を発見して

どうやら今日行ったところは違うらしいということがわかった。


落胆するも、道もわかったし要領をつかんだので

また明日くることにする。



帰り寄ったスーパーで、

いきなり日本語で「こんにちは」と

サーミの方に話しかけられた。


30代くらいの男性だろうか、

日本に来たことがあるらしく、日本人に好感をもっているらしかった。


いつまで滞在するのかと聞かれ、

来週の月曜日までと答え、

「その間に何か交流ができたらいいね」

と言われた。


連絡先を交換して帰宅すると

彼からメッセージが入り、


POKKAは遠いから近くのイナリの聖地に、僕のボートで行かないか?」


という話をもちかけられた。


かなり悩んだが、歌の録音は他人がいるとかなり難しいし、

時間も何時間かかるか予測不可能であるため、丁重に今回は断った。


またTaasti seidaについて調べると

僕たちが行った場所からあとわずか、1kmもいかないくらい

奥に儀式場があることがわかった。


あと少しだったのだ…


でも本日の場所も、かなり良い環境だった。


明日もあそこに行けると思うとテンションが上がった。

とりあえず雪は、明日はそこまで降らないらしい、が

道路凍結ヤバメな予報がガンガンでている。


だが、フィンランドに来て初めて充実感のあった日だった。
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