北極圏への旅 その7 イナリ4日目 聖地編
イナリ4日目にして、朝10時から出発。
10時でもまだ暗いし、曇り空であまり元気もでない。
昨日の天気予報では、うっすら雪が降るとのことであった。
道路の状況も昨日とはちがい、
結構雪がつもっているようだ。
この車のタイヤは、スタッドが入っていて、全然すべらない。
というか、対向車も約100kmくらいですれ違う。
こちらの人にとっては、まだまだ序の口の道路の状況なのだろう。
POKKAから湖方面へ行き、トナカイ用の柵を外してすすむ
(昨日は、フィンランド語が読めなかったので注意書きがよくわからなかった)
昨日駐車したところよりもさらに奥に行くとようやく目的の場所の駐車場にでた。
ここから森に分け入っていく
すると今回はまぎれもなくついた。
Taatsi seida
このつき出た岩が儀式場。
動物の骨や、木の実、などお供え物が置いてある。
私達もミカンをそなえた。
岩場の高さが約10mくらいあるのでこわごわ近寄る
ここでの録音もとてもよかった。
天然のエコ―が効いて、残響音がすごい。
その後、宿に帰ってからネットを調べているうちに
フィンランド大学の考古音響学のページをキラが発見した。
フィンランドには何カ所か、このようなサーミ族の儀式場があり、
そこでは天然のエコ―がかかる。
そういう場所を研究している学問があるそうだ。
私は、キラが歌っているうちに
色々と散策する。
オパール色の湖が美しすぎた。
青い湖、水の色も美しいが、
かなり黒に近い青の湖は空の色、空気と相まってなんとも言えない気持ちになった。
晴ればかりが良いのではなく、この曇り空でこその美しさというのがあって
それは発見であった。
宿に帰る途中にスーパーによると
昨日の男性とまたすれ違う。
これからピザでも家でどうか、と誘われたが、
宿に帰ってから録音素材の編集と
明日はノルウエーに行くことを決めていて、朝が超早いので本日もお断りした。
本当に申し訳なく思った。
スーパーからの帰りの車の中でキラと話をして、
今回は現地の人達とのふれあいが少ないという話になった。
サーミ族の方とは仲良くなりたいけれど、
今回は優先事項が違うような気がした。
私達は、これからも音楽製作のために
旅をするだろうと思う。
キラがインスピレーションを得られるような
自然豊かな環境や、場所に赴くだろう。
先住民族の文化や教養、そしてその存在はとても貴重で
尊敬するものだ。
だが、僕たちはそれを安易に借りようとはしてはならないのだ。
アイヌ族とズニ族は、僕の直感で歌を学びたかったり、
言葉を理解したいとおもった。
これは譲ることができないところだ。
だが、今回のサーミ族に関しては興味・関心はあるけれど
彼らの歌を歌おうとは思わなかった。
これは、
僕的にも僕自身の音楽製作に対する考え方について
発見であった。
単純にまとめると、
場所のエネルギーに感応したキラの歌を録音するというのが
聖地に赴いたときに、僕のやりたいことであって、
何かしらの文化を吸収して、それを録音物に反映させるということではない。
ただし、そこに以前から存在する方々への尊敬の気持ちをもって、
その場所や、文化を汚さないように必要最低限の知識の習得が
あらかじめ必要なことである
ということがわかった。
まあ、そんな姿勢の整理もできつつ
本日は、宿スタジオにて他の歌の録音も行う。
意外に部屋のリバーブが良くて
中々なものが録音できた。
明日はノルウエーへ行く。
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